猿去る
都会にやって来て
ちょっと騒ぎを起こした猿は
実は僕の家にいた。
親切な宇宙人の段ボールハウスで
かくまわれていたのだ。
外は嵐の日々で
なんだかだらだらと過ごした。
すっかり猿も体がなまってしまい
うっかりすると、今度は簡単に捕まってしまうかもしれない
そんな危うさと一緒に
今朝旅立った。
とおく奥多摩のそのおくの高尾山のさらに奥深くへ
旅立った。
また、一人残った宇宙人は
代々木公園から明治神宮あたりをねぐらとしている狸に会いに出かけた。
緑の濃い森である。
狸はいない。
どーやらこの連続雨降り事件に嫌気がさして
かねてより念願だった欧州旅行に出かけたらしい。
代々木公園のモグラが言っていた。
狸はフランスが好きだそうだ。
そういえば
いつも
セボン セボン ボンボンボンと腹をたたいていたな。
猿から電話があったのは夕方を少し過ぎた頃で日が沈むなか
静かに雨が降っていた。
猿は結局、新宿から電車に乗って帰ったらしい。
帰り着くと同時に布団に倒れ込むようにして寝た。
だから、今頃の連絡になったのだが
無事だ。
よろしく元気で過ごせよと、最後に言って電話を切った。
その電話の猿の声の遠く後ろから
セボン セボン ボンボンボンと聞こえてきたのは気のせいか。
きっと、雷だろう。
宇宙人は西の空が時々光るのを眺めていた。





























